
議長あいさつ
JIAには、建築家が社会に対して果たすべき重要な役割である、環境・まちづくり・保存再生・災害対策・建築相談に関する議論の場として、それぞれを名前に冠した五つの全国会議があります。JIA環境会議はそのひとつとして、全国各支部の委員が集まり、社会の要請に対応して随時WGを設け、それぞれが独自のテーマを掲げて議論を重ね成果を社会に発信しています。
近年大きな自然災害や異常な気象が毎年様々な地域で起きています。それらの気候変動に対する具体的対策として脱炭素社会を実現することは、私たちの世代が果たさなければならない大きな責任です。国際的なCO2削減目標が定められ、2021年に我が国も改めて厳しい達成目標を定めました。
JIA環境会議の前身である環境委員会が参加して、2000年にJIAが建築関連五団体とともに発表した「地球環境・建築憲章」は、長寿命、自然共生、省エネルギー、省資源・循環、継承という五つのキーワードを掲げました。その後、設計施工評価の技術が確立して建築単体の省エネルギー性能は急速に向上してきましたが、まだ五つのキーワード全てが実現しているとは言えません。
今、私たちはSDGs Sastainable Development Goalsという大きな目標を手にしました。2015年の国連総会において参加国すべての賛同で生まれた未来の世界のかたちです。建築家には、それを実現するための思想と新しい提案が求められています。 2021年6月のJIA•SDGsフォーラムにおいて、四つの全国会議から、建築家が職能を通じてSDGs実現に貢献するためのメッセージを発表しました。
● きちんとつくる
● だいじにつかう
● すてずにいかす
● ちいきをつなぐ
このメッセージには、建築をつくること使うこと更新すること、建築がつくる環境に対する広範な決意を込めました。それは2000年の「地球環境・建築憲章」とも重なります。
JIA環境会議の任務は、環境配慮の意義を深く考え、新しい建築のビジョンを構築発信し、具体的な実務に繋げるためのプラットホームとなることです。JIA環境会議の活動に、皆様が積極的に参加してくださることを期待します。
- JIA環境会議議長
- 袴田 喜夫