議長あいさつ
皆様、2021年に、環境・まちづくり・保存再生・災害対策の四つの全国会議を中心に議論を重ねてまとめたメッセージ「建築家が持っておくべき四つの心得」をご存じでしょうか。
● きちんとつくる
● だいじにつかう
● すてずにいかす
● ちいきへつなぐ
来春から義務化される省エネ関連のきまりごとは、基本的には建物を使う際に排出される二酸化炭素に関するものです。建物がない状態「0」から、ある状態「1」にする段階と、使い終わった(とされる)建物「1」を、建物がない状態「0」に戻す段階で排出される二酸化炭素の量についても、建物を使う際に排出される炭素量が技術進展によって減っていくことを考えると、その比重は今後大きくなっていくと考えられます。それらを足し合わせた、建築が生まれる時から無くなるまでの全寿命において排出される二酸化炭素の総量「ホールライフカーボン」を考える時代です。例えば、長年使用して老朽化した建物の、使えなくなった部分を取り外して「1」が「0.8」になる。断熱性や省エネ性能を更新して「1.2」に再生して、あらためて使い続ける。「0」→「1」→「0」→「1」を単純に繰り返すことに比べると、環境負荷の総和は小さくなりますね。壊さないことは『保存再生』に直結し、時間をかけた『まちづくり』につながります。災害を受けにくい場所に、壊れにくくきちんと作ることは『災害対策』でもあります。ストック活用を考えると、すべてが有機的につながってきます。
カーボン算出の数式を自在に扱うトップランナーから、地域に根差した建築をじっくり考える方まで、建築家も建築も多様です。環境会議は、大きく言えば、地球上で建築を扱う我々が心得ておくべきことは何なのかを考える場所です。四つの全国会議を横断しながら、同じ方向を向いて一緒に考えていきましょう。
- JIA環境会議議長
- 内野 輝明

